青少年読書感想文全国コンクール

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課題図書

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各課題図書の選定理由は、第70回青少年読書感想文全国コンクール「課題図書」選定委員会の報告をもとにしています。
※『学校図書館』(全国学校図書館協議会)2024年5月号掲載

※レビュー提供元:NetGalley

小学校低学年の部

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アザラシのアニュー

海にうかぶ氷の上で、アザラシのあかちゃんがうまれました。野生動物の子どもが懸命に成長する姿を描いた、大ぼうけんの物語!

 


【みどころ】
海にうかぶ氷の上で、アザラシのあかちゃんがうまれました。野生動物の子どもが懸命に成長する姿を、アラスカで滞在制作する作者が描いた、大ぼうけんの物語!巻末には、アザラシの生態を解説した図鑑ページも収録。

あずみ虫 作
童心社
1,650円

【選定理由】
北極圏から南下して出産するアザラシの生態が絵本になっており、小学校低学年が共感しながら読め、自然の営みについて理解できる。アザラシの成長について解説が書かれている点も評価した。
書店関係者

ほのぼのとしたアザラシのアニューの話かと思いきや、それだけではなく、今の世界の環境問題にも関わる話でした。世界の環境問題については小学校低学年だとなかなか想像がしづらいこともあると思いますが、この絵本を通して、実際にどのような影響が及ぶのかなど身近な問題として考えるきっかけになるのではないかと思います。
巻末にある著者のあとがきがとても素敵でした。また、アザラシの生態についても触れられており、動物に興味を持つきっかけにもなると思いました。

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教育関係者

タテゴトアザラシの赤ちゃん、アニューの成長と冒険を描いています。
作者のあずみ虫さんのイラストがなんとも温かい。どのページも自然と生き物への愛情を感じます。
この本は課題図書なので児童が読むことになると思われますが、是非ともおうちの方にあとがきを読んでもらって欲しいです。アラスカ在住の作者がこの作品に込めた思いが書かれています。
低学年が多く読むのでしょう。アニューはわずか2週間でお母さんと離れ、1人で生きていかなくてはいけません。「自立」とは何かを知るきっかけになるかもしれませんね。

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教育関係者

可愛いタテゴトアザラシのアニューの成長に寄り添っていくことで、読み手の心を豊かにしていく。それと共に、これからの地球の在り方を考えさせるきっかけとなる、そんな未来にむけての絵本。
あまり知る機会のない生き物を知り、その不思議に触れ、驚きを覚えることは、生き物を大切にするまず第一歩だと思う。
タテゴトアザラシのアニューが生まれ、母親と過ごし、さらに一人旅をするこの物語。最初は可愛いアニューが、頑張り、新たな世界で様々な生き物と触れ合い、危機を切り抜けた末に安住の地に辿り着く様子は、読む子どもをわくわくさせるだろう。
更に、タテゴトアザラシについてのわかりやすい解説を読むことで、これは単なる絵本ではなく、実在する生き物の生きる様子についての物語なのだと知ってほしい。そう願った。
そして出来うれば、〈あとがき〉を大人が読み聞かせしてあげて欲しい。生きる素晴らしさだけでなく、タテゴトアザラシを巡る現状を伝え、これら生き物達がずっとくらしていける世界になることを共に願って欲しい。心からそう感じた。

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ごめんねでてこい

大好きなおばあちゃんに、「きらい」って言っちゃった。あやまりたいのに、でてこない。わたしの中の「ごめんね」、でてこい。

 


【みどころ】
「ごめんね」という言葉の重みや大切さを考えさせてくれる1冊です。その人のことをしっかり思って、心からの言葉を伝えること。今ある日常を大切にすること。思いやりや家族との関わりをえがいたお話です。

ささきみお 作・絵
文研出版
1,320円

【選定理由】
日常生活でありがちな、主人公の素直になれない気持ちに共感できそう。「ごめんね」という気持ちが、いろいろな生活場面に発展して考えられる。1年生でも2年生でも読める文章量も選定理由。
教育関係者

途中ではなちゃんが思った気持ちを言えずにいるところが自分の子どものころと重なりました。ごめんねを言おうとするはなちゃんをがんばれ!がんばれ!と応援していました。優しい挿絵が、とてもお話に合っていて素敵です。

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図書館関係者

自分にもお友達にも大切なことを教えてくれている おばあちゃん!大好きだけどちょっとモヤモヤする気持ち・・かわいらしい絵柄で読みやすく状況もわかりやすかったです。挨拶や家でのルール、当たり前のことを見直すにも良い本だと思います。

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レビュアー

はなちゃんが、おばあちゃんを嫌だなって思った気持ち。ごめんなさいの気持ちを伝える大切さが分かったら、今度はその嫌だと思った気持ちをどんなタイミングで、どんな風におばあちゃんに伝えたら良かったか、お子さんと、或いは生徒さんと一緒に考えてみるのにも良い本だと思いました。

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おちびさんじゃないよ

テンちゃんは小さな女の子。転校生の小さな男の子マルくんにいじめっ子が近づきます。テンちゃんは助けようと勇気を出します。

 


【みどころ】
テンちゃんは小さな女の子。でも見た目で判断しないで、って思っています。ある日、いじめっ子が小さなマルくんにいじわるを。テンちゃんはいじめっこに立ち向かいます。そして「わたしはちびじゃないっ!」と大きな声で。

マヤ・マイヤーズ ぶん
ヘウォン・ユン え
まえざわあきえ やく
イマジネイション・プラス
1,870円

【選定理由】
体が小さいということを前向きにとらえている。主人公の行動力や勇気、大切なことが言えるところに共感してほしい。ストーリーに沿って主人公の成長と実体験を重ね合わせて読むことができる。
図書館関係者

身体が小さいからって、それがその人のすべてじゃない。
それを主人公のテンちゃんが教えてくれます。
男の子をいじめから守るテンちゃんは最高にかっこいい!
いじめはだめ!と言うだけでなく、こういう本を読むことで、子供たちは色々感じ、色々考え、行動してくれるのだと思います。

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教育関係者

何をやっても「ちいさくてかわいいから」と、くすっと笑いながら見られることに、末っ子で、親戚の中でも一番小さかった私はがまんができませんでした。テンちゃんの気持ちがとてもよくわかります。大声で反論した友だち思いのテンちゃんが格好良くて、何回か繰り返し読みました。色鉛筆のイラストがすてきです。

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図書館関係者

いつもおちびさん扱いされるテンちゃん。でも、体は小さくたってなんだってできる!おちびさんなんかじゃない!と頑張るテンちゃんが本当にかわいい。新しく学校に来たもっと小さな男の子をいじめっ子から助けたテンちゃんは、勇気があって心も全然おちびじゃないことをみんなに見せつけたのです。子どもに勇気をくれる本です。

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どうやってできるの? チョコレート

チョコレートはどうやって作るの? カカオはどのように日本にくるの? 食べ物ができるまでの不思議と、人々の仕事を知ろう!

 


【みどころ】
ふだん何気なく口にしている、チョコレート。どうやって作られるの? カカオの実の大きさは? カカオはどのように日本にくるの? 身近な食べものができるまでの不思議と、その過程で関わる人たちの働き方を知ろう!

田村孝介ほか 写真
ひさかたチャイルド
1,430円

【選定理由】
普段食べているチョコレートがどのように作られていくのかが、写真と説明で小学校低学年でもわかりやすい内容になっている。驚きのある写真も見事で、情報量が小学校低学年にちょうどよい。
教育関係者

あまりにも身近なチョコレート。
どうやってできるのか、を知る良い機会です。
カカオ豆の大きさにびっくり。
取り出した最初のタネの姿にまたびっくり。
そこからチョコレートに変身していく工程は、途中から良い香りがしそう。
つやつやになってからは、もうなめてみたくてたまりません。
味見をする写真が羨ましい。
子どもたちはきっと食べる写真、おいしそうなチョコレートが並ぶページにクギ付けになることでしょう。

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図書館関係者

なんておいしそうな表紙なんでしょう!
子供だけではなく大人も大好きなチョコレート。
知っているようで、きちんと知らないチョコレートの作られ方。
ページをめくるたびに、「カカオってこうなっているんだぁ」「こんな風になるんだぁ」と感心しました。
チョコレートでつくってみよう!のページは、すぐにでも試したくなる楽しいページ。
この本を読んで、今日から食べるチョコレートはもっともっとおいしくなりそうです。

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図書館関係者

チョコレートになる前のカカオ豆から、板チョコになるまでの過程が一目でわかる。
写真がとてもきれいに特徴をとらえていて、工程の流れもスムーズ。
砂糖をたくさん入れるみたいなこともちゃんと書いてあるし、調べたい疑問を解決するのにちょうどいい分量の本。
好きなものができる過程を見て、うっとりして興味を持つというのに充分な本だと思います。

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小学校中学年の部

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いつかの約束1945

ある日出会ったのは、自分は9歳だと言うおばあさん。「戦争はどうなったの?」 いっしょに歩き話した、忘れられない夏の一日。

 


【みどころ】
すずは、いろいろな場所で同じ時代を生きている人とは思えない不思議なことばかり口にします。時を超えた出会いと友情、すずが経験した戦争の記憶、そして未来への希望が、今を生きるわたしたちに伝わる物語です。

山本悦子 作
平澤朋子 絵
岩崎書店
1,430円

【選定理由】
2人の女の子とおばあさんとの会話から、過去と現在の対比が描かれ、戦争や平和について自然と考えることができる。戦争の悲惨さと現在の平和を作った多くの人々の努力を伝えている。
教育関係者

ゆきなとみくが出会ったおばあさんは「すず、9歳」と言った。そこから始まる、〈すず〉を探しての不思議な物語。
おばあちゃんのすずが周りの様子に示していく反応。それは最初は面白かったものの、だんだんと深刻で考えさせるものに変わっていく。
戦争体験は心を酷く傷つける。さらに、体にさえも消えない記憶を刻みつける。
〈すず〉とのこの経験をしたみくだから、更にここまで物語を読んできた読み手だから、お母さんの話を真剣に受け取るだろう。
そして何年も何十年もかけて、それを復興して今をもたらした人々がいることに気づいたろう。
〈あの時のすず〉は、『いつかの約束』を守り、この町を復興させたこの人々のひとりとなったのだろう。そしてこの絵は、そんな〈あの時のすず〉が見た〈未来からのお礼〉であり、『いつかの約束』がかなうことの予言だったのだろう。
戦争の悲惨さを描いた物語は色々読んだ。でも、このような希望に満ちた読後感を感じたものはなかった。
過去と未来を結ぶ、苦しみと幸せを結ぶこの歌が最後にこころに残った。
「かっぱ、かっぱ、おかっぱすずちゃん」

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レビュアー

子供達に平和の尊さをどう伝えていくか、というテーマの児童書は、実に多いと思います。
平和を伝えるためには、どうしても戦争の悲惨さを伝えなければなりません。
この本は、その伝え方がとても斬新だと思いました。
子供達はもちろん、親世代、祖父母世代も、戦争体験をされている方は少なくなっています。ほとんどいないかもしれません。そんな今の世の中に、ピッタリなお話でした。
どういう形で戦争が出てくるんだろうと思っていたのですが、こうきたのか!と驚きました。
後半は、涙、涙で。
文章は分かりやすく、温かく、でもしっかりとしていて、真っ直ぐ心に刺さってきます。
登場人物達も、生き生きとしています。
出会えて良かった!そう思えました。
ありがとうございます。

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図書館関係者

令和を生きる子供たちに戦争について語るのには、このくらいの軽さが必要かもな、と思った。
みくとゆきなが出会った女の子、すずとの友情の話。
これは間違いなく友情の物語だ。
戦争の悲惨さを目の当たりにしている、すずの、「まちをこんなにきれいにしたのはだれ?」という問いに、すべてが詰まっている。それにたいして、「いろんな人だよ!」という答えがとても頼もしいのです。
いろんな人のなかのひとりになりたい、という気持ちの切なさに、戦争を知らない子供たちは気づくだろうか。
子供たちの感想を聞くのが楽しみ。

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じゅげむの夏

「今年がラストチャンスって気がするんだよ」難病をかかえる親友の願いをかなえるため、ぼくたちの夏休みの冒険が、今はじまる!

 


【みどころ】
山ちゃん、シューちゃん、かっちゃん、ぼくは仲良し4人組。4年生の夏休みにやりたいことを宣言した、難病の親友・かっちゃんの願いを叶えるため、ぼくらはこっそり計画を練った……。少年たちの冒険が、今はじまる!

最上一平 作
マメイケダ 絵
佼成出版社
1,650円

【選定理由】
友情と夏休みの冒険がテーマで、同世代の子どもたちが、男女問わずに楽しんで読むことができる。エピソードそれぞれに、ダイナミックな展開があり、読んでいて爽快である。
書店関係者

なんて力強くて、色彩の濃い夏だろう!10才の少年四人の、自然豊かな夏をこの本で追体験できます。
この四人、なんと言っても遠慮がないのがいい。朗らかで、落語家になる夢を持つ筋ジストロフィーのかっちゃんや、思い切りが良く豪快な山ちゃん、どこにでも寝転がっていつも砂まみれのシューちゃん、そして、色々と考えてしまう、ぼく。かっちゃんの現実にたじろぐこともあるけど、この四人の間にはいつも笑顔が溢れている。希望をもらえる一冊です。

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レビュアー

生きているって素晴らしい!
空を見上げて、大きく息を吸って、思いっきり走り出したくなった
夏休みっていいよな~。
何もしなくてもいいし、なにかに真剣に取り組んでもいいし、ぼおーっと妄想にふけっていてもいい。
でも、その年の夏休みは、一生に一回しかないのだ。
一生に一回きりの夏休みを、大好きな仲間とおもいっきり楽しめたら、どんなに幸せだろう。
『じゅげむの夏』では、小学4年生の4人の男子たちが、そんな素敵な夏休みを過ごすのだ。
「今」しかできないこと、「今」だから楽しめることがあるのを知っている彼らたち。
彼らの生きているパワーが、ページからあふれでてくるのを感じた。
しつこいけれど、あ~、夏休みっていいよな~。
マメイケダさんの描くイラストも最高に素敵でした!

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レビュアー

人と人との繋がり。人が人を思いやることの温かさ。信頼し合えることの幸せ。読むたびに心がじんと温かくなり、涙が溢れてきます。不思議です。
筋ジストロフィーのかっちゃんを、ありのままに受け止める、山ちゃん、シューちゃん、アキラくん。その優しさが、生き生きとした文章で綴られていきます。
何気ない夏休みのワンシーンが、冒険に早替わり。4人と一緒にワクワクして、ドキドキして、ハラハラして、笑って、泣いて。まるで自分自身も、仲間になれたみたいです。
毎年夏に読みたい!そう思える一冊になりました。
ありがとうございます。

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さようなら プラスチック・ストロー

ストローの発明と改良の歴史、プラスチックごみの影響や解決策など、ストローからSDGsを考え行動するためのノンフィクション。  

 


【みどころ】
約5千年前に発明されたストローは、なぜ今、問題になっているのだろう? ストローの発明と改良の歴史、プラスチックごみが環境や海の生き物に与える影響、解決策など、SDGsを考え行動するためのノンフィクション。

ディー・ロミート 文
ズユェ・チェン 絵
千葉茂樹 訳
光村教育図書
1,760円

【選定理由】
子どもたちにも身近な、プラスチックと地球環境の問題を、ストローの歴史から紹介することが新鮮。生活を便利に豊かにするはずの発明が新たな問題を生む事実もわかりやすく語られている。
図書館関係者

ストローの歴史なんて、今まで考えたことがあっただろうか。
けれど、こうやって知ってみるととても興味深い。
この本を読みながら、ストローの歴史を知り、ストローに興味を持ち、自然とこれからのことを考えるきっかけができた。
ただ声高に”プラスティックストローはだめ!”と言うのではなく、こういう本が子供たちの関心の入り口になるのは素晴らしいことだと思う。
できるだけ多くの子供達、そして多くの大人に読んでもらいたい1冊。

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レビュアー

プラスチック・ストローが生まれた背景と問題点が詳細に書かれていましてとても勉強になりました。溢れかえるプラスチックごみ、海の生き物の死骸の体内に詰まっていた大量のプラスチック製品の動画を見て世界中の多くの人々が心を痛めたと言います。本書を読むことでこれまで考えて来なかった問題について大切な事を教えてもらえて心を新たに自分の出来る範囲で行動を変えて行けたらなと思いますね。世界中の人々に向けて地球環境にとってより良い方向性を訴え教え導いてくれる非常に価値ある有意義な絵本だと思いますね。

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図書館関係者

子どもたちにとってストローはプラスチックが当たり前なのかもしれないが、そもそもストローはなぜ必要だったのか、現在の姿になったのか、わかりやすく説明されている。SDGsの学習にも身近なストローから環境問題への関心の広がりが期待できる。表紙の鳥の絵は、実際の写真を見たことがあるが、ショッキングなものだった。この本を通じて、そうか、べつにほかのそざいでもいいし、ストローなくても飲めるよねと、本当はストロー大好きな子ども達が思ってくれるだろう。

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聞いて 聞いて!:音と耳のはなし

音は震える空気の波。大きな音は大きくうねり、高い音は細かく震える。2つの耳で聞くと、音はいきいきと立体的に聞こえるよ!

 


【みどころ】
音は震える空気の波。大きな音は大きくうねり、高い音は細かく震える。身のまわりの音がいきいきと立体的に聞こえるのは、2つの耳に届く音が少しズレてるせいなんだって! 音のヒミツと耳のしくみがわかるかがく絵本。

髙津修、遠藤義人 文
長崎訓子 絵
福音館書店
1,760円

【選定理由】
「音」や「聞く」を、科学的視点で見ることの面白さを教えてくれる。小学校中学年が理解するのに適しており、知的好奇心が大いに刺激される。身近なことを立ち止まって考えるきっかけとなる。
図書館関係者

音を絵でうまく表現されていて仕組みがイメージしやすい。
人が聞こえない音波についての説明も丁寧にされている。
耳の働きはもちろん、その音からいろいろな情報を得る脳の働きもスゴイ。
子どもが、人体についてさらに興味を持ちそうな科学絵本でした。

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図書館関係者

音とはなにか、耳はどうやって音を認識しているのか、がよーくわかる科学絵本。すごくお気に入りの1冊になりました。
中学年~中学生、高校生にも、読み聞かせに使いたいと思いました。絵できちんと図解されていて、言葉もかんたんな表現が使われているので、とてもわかりやすいです。「読み聞かせ」という声(音)と視覚で届けることが、とても意味のあるものになりそうだな、と思います。

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書店関係者

当たり前にある私たちの耳に届く「音」。
音に関する豆知識を、ダイナミックかつ親しみやすいイラストで学べます。
動物どうしの秘密の会話や花火や雷がなんで遅れて音が鳴るのか、とてもわかりやすく解説。視覚的に理解できると、イメージしやすく自分の感覚として実感できます。
身近な音がとっても特別に感じる、新しい世界を呼び覚ます一冊。

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小学校高学年の部

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ぼくはうそをついた

あの人を救いたくて――
原爆で亡くなった息子のフリをした。少年のまなざしを通して、平和への祈りと希望を描いた物語。

 


【みどころ】
あの人を救いたくて、原爆で亡くなった息子のフリをした――小学5年生のリョウタが、自分の住むヒロシマの街を歩きながら、今も消えない原爆の傷と人々の想いについて考えます。平和への祈りをこめた物語。

西村すぐり 作
中島花野 絵
ポプラ社
1,650円

【選定理由】
タイトルから、読者は「なぜ」と思いを巡らせて読み進めていく中で、一人ひとりの判断や行動には理由があることなどを感じ取ったり、自分の日常と生活を関連付けて考えたりすることができる。
レビュアー

リョウタは、うそをついた。
気になるタイトルだ。
なぜ、うそをついたのか。
傷ついた人の心を癒すため。
現代っ子が現在(といっても2005年だけれど)の広島の町を、被爆地から家に向かって、亡くなった祖父の兄を思いながら実際に歩いてみるというのがよかった。
ここで昔、こんなことがあったんだなあ。
この下には、もしかしたら、まだ亡くなった方の骨が埋まっているのかもしれないなあ。
そんなことを思いながら。
今、現在も、世界の各地では戦争や虐殺がある。
過去の事、外国の事、と考えずに、自分や、自分の大切な人にも起こりうること、と読者に認識してもらうために、とてもよい物語だと思った。

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書店関係者

今の子供たちにとってはあの戦争は教科書で習う歴史上の出来事。日本が世界を相手に戦っていたなんて、この平和な日々の中では実感しづらいかもしれません。広島の原爆で亡くなった方の遺品を通してあの出来事が生々しく語られます。毎日をただ一生懸命生きていた人がとんでもない暴力で何もかもを奪われ、物語中では60年経っても消えない、心に深い深い傷跡を残してしまう愚かな行為、それが戦争なのです。今世界中で頻発している戦争を考えるきっかけになる作品。

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図書館関係者

広島に住む小学5年生のリョウタはシゲルじいちゃんからじいちゃんのお兄さん・ミノルが原爆で亡くなったことを知る。それをきっかけに広島の街を巡っているうちにバレーボールクラブの先輩、レイに会う。レイのひいおばあちゃんも原爆で息子のショウタを亡くしていて…。ひいおばあちゃんを見守るレイがやるせない。原爆が落とされた中、亡くなった人たちの遺品をいれる袋をつくりつづけたミドリ先生のような人たちも多かったのだろう。「ぼくがついたうそ」は「ぼくたちがついたウソ」だったのかも。でも切なくて優しいウソでした。

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ドアのむこうの国へのパスポート

ふしぎなドアのむこうへ行くには? ラウレンゾーとクラスの仲間は、作家から届くなぞときに挑戦する! 心のかぎを開ける物語。

 


【みどころ】
トム先生のクラスの子どもたちは作家からのなぞときにいどみ、ふうがわりなパスポート申請やビザ作りにとりくみます。ドアのむこうにあるのは……? エールに満ちた物語。

トンケ・ドラフト 作
リンデルト・クロムハウト 作
リンデ・ファース 絵
西村由美 訳
岩波書店
1,980円

【選定理由】
作中の架空の国に入るための活動をとおして、登場人物たちは自分自身を見つめ、友だちのことを理解し、受け入れ合う。こうした展開が読者の興味・関心を高め、読みを深めることができる。
図書館関係者

オランダの二人の児童文学の作家の親交から生まれたという本作。特別支援が必要な子どもたちの学級、先生と友達の作家が考えた仕掛けが、想像力を働かせて遊ぶ不思議な国へのビザづくり。子どもたちは夢中になってビザづくりをするうちにそれぞれの問題解決や仲間の相互理解へ繋がっていく。どういう結末になっていくのか全く読めない展開が、読者である子供たちをワクワクさせ、また内気な主人公ラウレンゾーと一緒に物語を動かす作家と対話することで状況の進み具合いを見守ることもでき、いつのまにかお話の世界に入っている。この物語の背景にあるトンケ作品を知っていればさらに楽しめるが、はじめて触れる子どもたちには、後半のビザつくりの面白さが理解しにくいかもしれない。猫や船渡しのおじいさんとの交流の中でのラウレンゾーの心の動きが印象的で、自分の心に気づいて踏み出していく成長の描写が見事です。

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教育関係者

子どものころ、大勢の人のなかにいるのに、みんなのことを知っているのになぜか孤独を感じるということが、あった。
もしかしたら、ここにいるのは間違いなんだよって、誰かが連れ出してくれるかもしれないなどと想像したことも、あった。
そんなことを思い出させてくれる、本。
ラウレンゾーをはじめ、周りの子どもたちが本を読んでもらうことが大好きというのがとても良い。
本に触れるのは、読むのはもちろんだけれども、耳から聴いて想像していくというのも大切なこと。
本の扉を開けると、どんな世界が広がっているんだろう。表紙の扉は、違う世界への扉。
そこを訪れることができるのは、自分だけ。いくら誰かと読んでもらっていても自分だけが自分で造りあげる世界に入れる。

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教育関係者

ドアの向こうの国へ行きたいラウレンゾー達の様子が変わっていく。本気で頑張っていくようになる様子が頼もしい。そして、一人一人が書いたビザの絵。なんと個性的。だからこそ、扉を開ける事ができる。そして、その向こうは…
「手のかかる子どもたち」なんていない。皆、豊かな個性を持っている。
子どもは多様。一つとして同じ個性の子はいない。そしてそれぞれが、プラスの面とマイナスの面を必ず持っている。マイナスの面が目立ってしまうこともあるが、それだけであることは絶対にない。
そんな思いを強くした児童文学だった。

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図書館がくれた宝物

ロンドンから疎開し親代わりになる人をひそかに探す3人きょうだいは、村の図書館に通い始め…。第二次世界大戦下の心温まる物語。

 


【みどころ】
両親のいないきょうだいの疎開先での心のよりどころは村の図書館。そんな3人はひそかに「本当の親」になってくれる人をさがしていて…。きょうだいの助け合いが印象的な、第二次世界大戦下の心あたたまる物語です。

ケイト・アルバス 作
田理絵 訳
徳間書店
2,090円

【選定理由】
イギリスと日本の戦時下の市民のくらしの違いに気づかせてくれ、困難な生活の中を、必死に生きていく姿に心を動かされる。登場人物たちに、家族のありようの一つを見ることができる。
メディア/ジャーナリスト

日本でもあった戦時中の「学童疎開」。空襲による被害を少なくするために、都市部に住む子ども達が周辺の農村部へ疎開した。イギリスでも太平洋戦争中、ロンドン市民はドイツ軍からの空襲におびえる日々が続き、田舎へ疎開した子ども達が25万人もいたという。この物語の主人公は両親を早くに亡くし、「やさしさや思いやりにかけた」祖母に育てられたピアース家の三人ー長男のウィリアム12才、次男のエドマンド11才、そして9才の末っ子(妹)アンナだ。祖母亡き後、三人は弁護士のエンガーソルさんのある計画によって、田舎へ疎開することになるのだが、到着した場所で集まっていた大人達に「品定め」をされ、三人一緒、という条件で引き取られた家ではそこに住む双子の同い年の男の子に「きたない疎開野郎」と言われいじめを受け続け、次の家では「ヤングケアラー」なみの労働を強いられる。このような過酷な日々や屈辱を受け続ける毎日の中で、三人はギリギリのところまで追い込まれていく。長男ウィリアムがわずか12才でありながら二人の弟、妹の親代わりとして泣き言をひとつ言わず頑張っている姿には涙が出る。我慢ができず思ったことをすぐに口にしてしまい兄に迷惑ばかりかけてしまうエドマンドにも同情してしまう。長男のウィリアムが大好きで親のように思っている9才のアンナが、兄の大変さを知り気を遣って我慢する姿には胸が痛む。どんなに苦しくても虐げられても引き取り先の家を飛び出したら、子どもたちだけでは生きていけない。戦争が与える子どもたちへの苦しみが想像以上で、こんなことはもう二度とあってはならない、と思わせる。しかし、三人に希望の光を与えてくれたのは疎開先にあった「図書館」と図書館司書のミュラー夫人。どんな過酷な状況においても希望があってほしいー児童文学の真髄をみた気がした。

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図書館関係者

戦争の話か、と思いながら読み始めたけれど、読み進めていくうちに、それがメインではないんだな、と気づきました。
これは図書館を中心にした家族探しの物語です。ピンチに立たされた三兄妹が、本と物語の世界を知っている子どもたちでよかった。本はいつでも誰かの逃げ場所となれる。
終盤は思わずほろりと泣いてしまいました。

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図書館関係者

両親亡き後ウィリアム、エドマンド、アンナの3人兄妹は唯一の肉親の祖母まで亡くした。ここまででも十分に気の毒な境遇なのに、更に後見人がいない。戦時下において、子どもだけで田舎に疎開。里親とその子どもたちとうまくいかず、救いのない状況の中、希望の光は、図書館だった。今でも名作として読まれる作品がこのころによく読まれていた作品として次々と登場する。辛いとき、本の中のエピソードを心の拠り所として読み過ごす場面には胸が震えた。全体に戦況の厳しさや生活の貧しさが描かれ暗い陰を落としているが、兄妹の団結やけなげさに心救われる。図書館で得た宝物とは本のことと思っていた。しかし兄妹はそれ以上のものを手に入れたのだ。

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海よ光れ!:3・11被災者を励ました学校新聞

東日本大震災の避難所の小学校で子どもたちが取り組んだこととは…。子どもたちの思いをつぶさに伝える感動のノンフィクション。

 


【みどころ】
東日本大震災の避難所となった小学校で、被災者といっしょに寝泊まりしていた子どもたち。何を感じ、自分たちに何ができるのかを考え取り組んだこととは…。子どもたちの思いをつぶさに伝える感動ノンフィクション。

田沢五月 作
国土社
1,540円

【選定理由】
読みやすい文章で、新聞の役割と紙面構成、記事の書き方がわかる構成で、ノンフィクションとして優れている。震災当時の子どもたちの活動や地域の絆の大切さが描かれている。
図書館関係者

最上級生になったら○○をしたい。
こういう憧れがあったのに、コロナで大会がなくなったり、運動会が縮小されたり、行事がなくなったりした経験を持つ高学年の子たちは、ずっと思ってきたことができなくなる痛みがまだ残っているから、この本に、すっと入り込めるのではないかと思う。
ずっとずっと語り継がれ、文化として守られて来た劇。そして新聞づくり。繰り返し繰り返し見聞きし、そして血を通わせた新聞づくりをしてきたからこそ、大きな災害を前にしても、自らのすべきことに目を向けて、自分たちで考えて、行動ができたのだと心がふるえた。
丁寧な筆者の子どもたちへの聞き取りと、彼らとの信頼関係がこの文章の土台を揺るぎないものとしている。
2011年にはまだ生まれていなかった小学生たちに、教科書の中に載っていない震災関連の絵本や本を手にして、どの場所のどの人たちにも、それぞれの状況と思いがあったことを知ってほしい。そして、その本を読んだ本当の知識の点と点をつないで、線に、カタチにしていってほしい。その最初の1冊にしてほしいとおもう。

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図書館関係者

岩手県山田町立大沢小学校では大切にしている2つの「海よ光れ!」がある。毎年全校でおこなう表現劇「海よ光れ!」と全国学校新聞コンクールでの評価も高い学校新聞「海よ光れ!」だ。その表彰式参加の6日後、3.11の東日本大震災が起こる。幸い学校は無事で生徒も先生も無事だったけど、学校が避難所になる。そんな中、子供たちは自分たちには何ができるだろうと考えて、掃除を手伝ったり、避難している方々へ「肩もみ隊」として肩をもんでまわったりしていた。そして、新聞を作ってボランティアの方々に感謝し、被災者を励まそうと考える。そんな1年間が描かれたこの本。実は被災から8年後くらい、ここに出てくる子供たちが大人になってから書かれた最近のものだ。きちんと話せるようになるにはそのくらいかかったのかもしれない。今現在の彼らで作った特別号もまた素晴らしいものでした。自分たちが困難に陥ったらどんな行動ができるのか、考えさせてくれる、でも希望のもてるそんな一冊です。

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教育関係者

2024年の読書感想文課題図書になったとのこと。震災を経験した小学生の目線で書かれており、小学生が感情移入して震災のことを知ったり考えたりできる一冊だと思いました。
甚大な被害をもたらした東日本大震災。もう、今の小学生はこの震災の後に生まれています。災害を経験した訳でも、当時の映像を見たり空気感を味わったりもしていません。
小学生が卒業を控え、次の春に向けて気持ちの高まる3月11日、その気持ちを打ち砕く地震と津波が襲ってきました。
それを経験した小学生の目線で書かれたこの本は、歴史上のこととなっている東日本大震災(特に地震、津波、学校での避難生活)のことについて、子供たちが考える機会となる一冊であり、当たり前の日常、そして自然災害に対してどのように考え、行動するかを意識させられる本だと思いました。

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中学校の部

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ノクツドウライオウ:靴ノ往来堂

祖父の作った靴を持つ人たちにおきた、人生を変えるほどの変化。それは進路に迷う夏希の心を大きく揺さぶる。さわやかな青春物語。

 


【みどころ】
夏希はシューズデザイナーを夢みる中学生。祖父はオーダーメイド靴店「往来堂」の店主だ。祖父がつくる靴を履いた人たちには、人生を変えるほどの変化が起こる。夏希は、それらに影響を受けながら進路を定めていく。

佐藤まどか 著
あすなろ書房
1,650円

【選定理由】
靴づくりの細かなところまで描かれており、物作りの魅力にどんどん引き込まれていく作品。大切に扱えば長く使えるものとの出会いは、気づかないだけで身近にあることがわかる。
図書館関係者

オーダーメイドの靴職人のお店のおはなし。普段読むことのない職場は、ちょっと興味深々で楽しく読めた。祖父の仕事を尊敬しつつ、自分らしさも発揮したいと思っている主人公は、読者の年齢にピッタリ。背景には、サスティナブルや環境保護などもあり、読みやすさからも、中学生にぜひおすすめ。

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レビュアー

家業があるなしに関わらず、高校受験(中学受験)を前に、自分の将来の夢や仕事について考える子どもは多いと思う。
そんな子どもたちのモヤモヤした気持ちが素直に書かれていて、悩んでいる姿すら、すがすがしかった。
青春だな~。
大人の私は、夏希のおじいちゃんマエストロの生き方や仕事への考え方に共感できた。
大人になって、仕事をして思うことは、自分の仕事に対して、人が喜んでくれるのが、何よりもうれしいし、やりがいを感じるということだ。
家事でも、家族が喜んでくれればうれしい!
結局は仕事も含めて、生きていることって、だれかに喜んでもらえることを繰り返していくことなのかなと思う。
子どもたちには、人を笑顔にする(もちろん自分も笑顔になる)仕事を選ぶためにも、今いろんな経験をしてほしいなと思います。

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レビュアー

「まさか自分の人生が、たった一足の靴で変わるとは思いませんでした.......」
本の紹介のページのこの言葉にひかれて読み始めました。
オーダーメイド靴屋「往来堂」の店主はマエストロと呼ばれている。このマエストロの孫はシューズデザイナーを夢見る中学生の夏希。歳の離れた兄がいなくなり、夏希はこの店を継ぐか悩む日々を送る。
そんなとき注文したお客さんの一言が「まさか自分の人生が、たった一足の靴で変わるとは思いませんでした.......」という言葉です。
最近は安価な靴を使い捨てたり、ネットで注文する人も多いでしょう。それとは対極にあるオーダーメイドの靴は足形を取り木型を作り、好みの皮を切断し縫製したり、歩き方で靴を調整したりと時間がかかる靴です。
夏希のアイデアによりお客様のピンチを救います。
伝統を守ることもとても大切なことです。時代の変化とともに新しいことも取り入れながら、「往来堂」が続いていくといいですね。
夏希のように夢がある中学生にも、将来についてまだ考えられないという中学生にもおすすめしたいです。そして今自分の履いている靴が本当に合っているのか考えてみて欲しいです。まだ成長期だからオーダーメイドの靴には早いかもしれませんが、靴屋さんで足のサイズを測ってもらいインソールを調整してもらうだけでも歩くのが楽しみになりますよ。

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希望のひとしずく

3人の中学生が古い井戸を見つけた。願いが叶うという伝説の井戸が、町の人たちに次々と奇跡を起こす!?愛と希望があふれる物語。

 


【みどころ】
3人の中学生が、願いをかなえる伝説の井戸を見つける。そして、クラスメイトや町の人たちのさまざまな願いを知る。ひとりの優しい気持ちが、思いがけない奇跡を起こし、だれかの幸せにつながっていく。愛と希望の物語。

キース・カラブレーゼ 著
代田亜香子 訳
理論社
1,980円

【選定理由】
登場人物が多く、連続ドラマになりそうな多彩なエピソードで構成され、飽きずにぐいぐい読める。ちょっとした気づきや優しさが、人の助けになるかもしれないと思わせてくれる。
図書館関係者

優しい物語だと聞いていましたが、本当にその通りの本でした。井戸に真剣な願い事をかけた人のもとに届く魔法。おじいちゃんの屋根裏に残された物たちが、バタフライエフェクトのように少しだけ力を貸して、そして幸福に導いていたのだと思います。もしかしたら、おじいちゃんの想いが突き動かしたのかもしれません。
ただ、あの物達は必要な人のもとに届くので、「ものを受け取った人」(例えば、おもちゃのピストルやカードゲーム)にも、素敵な幸福が訪れたのかもしれないと思うと、ドキドキします。
アーネストも、おじいちゃんの屋根裏の物たちのおかげで、友だちが増えました。「必要な人のもとに届く」というのは、きっと、アーネストのことも入っていたのではないでしょうか。

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レビュアー

私のお気に入りの登場人物はライアンだ。
この本を読んだ人は、きっとみんな彼のことを好きになっちゃうと思う。
彼は、家族思いだし、友達思いだし、ご近所さんにも優しい。
心のなかでは「めんどくさいな」と思いながらも、先に体の方が前に出て行動してしまう、根っからの優しさがある男の子だ。
そんな彼のやさしさで一番いいなと感じたのは、近所に住むおばあさんヘメルレさんへのやさしさだ。
ライアンは、ヘメルレさんは、記憶がときどきあいまいになっているのだろう、体が昔のように思うようにきびきび動けないのだとわかっている。
さらには、ヘメルレおばあちゃんが、そうなりたくて、なっているわけじゃない、好き好んで老いているわけじゃないのも理解している。
芝刈りのあとに、関節炎で痛いだろう指をつかって、しぼりたてのレモネードをライアンに飲ませてくれる、ヘメルレおばあちゃんの優しさも知っている。
だからこそ、ヘメルレさんの気持ちを想像して、やさしくできるのだ。
ライアンは、友達についても、家族についても、気を配って観察しながら、相手の気持ちを理解しようとしている。
ライアンのようになるのは難しいかな?
いいや、ライアンを見習ってみよう。
その人の気持ちを想像するには、まず、その人のいろんな情報が必要だ。
情報を知り、その人自身を知り、そこから気持ちを推理していく。
まるで謎解きのようだと思うと、案外、自分にもできる気がする。
ライアンのように、だれかの気持ちを想像してみる、そして、その人のために行動してみる。
それが、だれかにやさしくできる一歩なんだと思う。
社会のみんなひとりひとりが、「だれかの気持ちを想像して行動する」
それをするだけで、もっともっとやさしい社会ができると思うと、幸せな気持ちになった。
ライアンは、これから、もっともっとすてきな大人になっていくんだろうな~と思う。

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レビュアー

みごとな物語でした。
登場人物がいっぱいで、これはどうなることやら、中学生に読めるのかなあ、なんて思っていましたが、
ぜんぜん、ぜんぜんそんなことないですね。
ぐいぐいぐいぐい、素敵な展開が続いていって、すごくハッピーな気持ちになって読み終えることができました。
対象が中学生だからこそ、こういう物語が今、必要なのだと思いました。
まさに、希望のひとしずくが、そこにある。厳しくうつる時代だからこそ、この本を読んで、未来への勇気をもってほしいなあと思いました。
課題図書に選ばれるべくして選ばれた本ですね。
もし可能なら、HPにでも、登場人物をもっとわかりやすく載せるというのはどうでしょうか。

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アフリカで、バッグの会社はじめました:寄り道多め仲本千津の進んできた道

アフリカの貧困問題を解決し、女性を輝かせたい――自分の本当の夢を追いつづけた仲本千津さんの“進路決定”ドキュメンタリー。

 


【みどころ】
将来の夢が何度も変わり、銀行員になっても、仲本千津さんは「こうありたい自分」をずっと追いもとめてきました。色あざやかなバッグと彼女の生き方は、「自分の好きな色を選んでいいんだよ」というメッセージです。

江口絵理 著
さ・え・ら書房
1,650円

【選定理由】
大変わかりやすく書かれ、言葉の選び方、ページ数など伝わることを大切にしている編集、読後に明るい未来を思い描ける内容。表紙に描かれたバッグの写真も印象的。
図書館関係者

バイタリティが凄い。行動力も凄い。
ですが、私が一番すごいなと思ったのは、ずっと学び続けようとする姿勢です。
大人になればなるほど学ぶことが嫌になり、苦痛になってきます。興味のあることなのに、そこまで情熱を注げない人も多いはずです。
ですが、仲本さんは若いときからの情熱をずっと持ち続け、学び続けている。それが凄い。
私たちが、好きなことをして生きるのに大切なことは、学び続けようとする情熱なんじゃないでしょうか。そう思わせてくれた本でした。

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図書館関係者

第70回青少年読書感想文全国コンクール中学生の部の課題図書。
ウガンダだけでなく日本でも問題になっているシングルマザーの貧困問題、発展途上国の経済問題、環境問題、色鮮やかなアフリカプリントで作るバッグに込める思いなど「社会起業家」として仲本さんが大切にしている考えが、読みやすく分かりやすく文章で書かれていて、あっという間に一気に読んでしまいました。
中学生は進路について決めたり考えたりすることを求められますが、知識や経験はこれから吸収していく時期だと思います。この本で書かれる仲本さんの「寄り道」は、読み手の中学生にとって「決めた進路は変えてもいい」「迷いながら進めばいい」と勇気がもらえるのではと思いました。

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図書館関係者

ひとりの社会起業家の歩みを丁寧に追ったドキュメントです。
ルビが比較的多いので小学校高学年ぐらいから大人まで、スムーズに読めるのではないでしょうか。
筆致もテンポよく感じよく、とても誠実です。
最初は医師を目指し、次に国連職員を目指し、しかし社会起業家になっていく、という道筋が、腑に落ちるように描かれています。
終盤の、彼女がなぜ頑張れるのか、「救える命を救いたい」と強く思うのか、という辺りでは目頭が熱くなりました。
ひとりでも多くの人が読んで前向きに人生を歩むきっかけにしてくれたらいいな、と思うような良書です。

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高等学校の部

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そらわたる教室

「もう一度学校に通いたい」と定時制高校に集った生徒達。科学部を結成し、実験を通して一つになっていく――
ドラマチックな青春科学小説!

 


【みどころ】
定時制高校に集った、さまざまな事情を抱えた生徒たち。彼らは「科学部」を結成し、「火星のクレーター」を再現する実験を始めた――夜の教室で起こった奇跡の化学反応が胸を打つ、共感度100%の物語です。

伊与原 新 著
文藝春秋
1,760円

【選定理由】
定時制高校の実話が、高校生には意外性をもって受け止められる。主人公が学びに目覚めるプロセス、かつ科学分野に目を向けていく点に多様な読書感想文が期待できる。
レビュアー

年齢も事情も異なる生徒たちが通う定時制高校で教師の藤竹が彼らを集めて科学部を作る。全くその気でなかった彼らがどんどん本気になっていって自ら考え学び研究していく姿、初めて学ぶことの楽しさを知った彼らの一生懸命さがとても良い。研究内容のレベルも凄く高くて小説だからな…と思っていたらあとがきを読んでびっくり!フィクションであるとは書いてあるけど本当に同じような研究発表をした定時制高校の生徒たちがいたなんて!興味を持って自ら学ぶという力の強さを感じました。凄く良かったです!

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教育関係者

グッと胸が詰まった。
様々な思いをかかえた人たちが集まる夜間の学校。
環境も年齢も国さえも違う人たちが、磁石のようにひきつけられて
科学に熱中し、力を蓄え、花開いていく様子に心が熱くなった。
人は学ぶことに喜びを感じるものなんだ、と強く思う。
あとがきを読んで、ベースになった事実があることに、またふるえた。
読んで本当によかった、と思える作品だった。

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図書館関係者

見過ごされたディスレクシア、貧しさ故に諦めた自分の将来、戦後の集団就職、起立性調節障害・・・様々な理由で進学を断念した者たち。学校に通いたい、そんな切実な思いで定時制高校の門をくぐった生徒と、彼らを支える1人の教師の大きな挑戦が描かれている。
学びを止めることは簡単だ。しかし学校に通って勉強ができる日常が、実は当たり前なのではないということに改めて気付かされる。一度は諦めたからこそ、ここに描かれた科学部員たちには、学ぶことの尊さが誰よりもよく分かっているのだろう。
青空の見えない夜の高校。でもここには確かに高校生の青春がある。「あそこには、何だってある。その気になりさえすれば、何だってできる。」学ぶ気持ちがあれば、私たちは宇宙だってわたれるのだ。

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優等生サバイバル:青春を生き抜く13の法則

成績に一喜一憂する日々に、はじめてのホントの恋! ハードな高校生活を生き抜くために、「優等生」のジュノが見つけた法則とは?

 


【みどころ】
テスト、課題、進路、そして恋……。1日は24 時間。やらなきゃいけないこと、考えなきゃいけないことは満載!! 悩み多き日々のなか、ジュノは、将来の準備期間だけではない「今を生きる」法則を見つけていきます。 

ファン・ヨンミ 作
キム・イネ 訳
評論社
1,650円

【選定理由】
日本よりも厳しいといわれる韓国の受験戦争真っただ中の高校生を描き、日本の高校生にも共感をもって、さまざまな読書感想文が寄せられることが考えられる。物語のテンポの良さを評価。
メディア/ジャーナリスト

高校生で将来自分のやりたいことがはっきりしている人は一体、どれくらいいるのだろう。大抵の人たちは、自分の将来への道を見出だせず、周囲と同じように、名門高校に入るために小学校から塾通いをし、一流大学へ入るために高校で一番の成績をとることを目標とするのではないだろうか。でも一体、それでいいのだろうか。『優等生サバイバル』の主人公ジュノは「幼い頃からほめられることに慣れていて、認めてもらえないなんてことは一度もなかった」。そしてシミン中学からはわずか2人だけしか合格していない、という名門校のトゥソン高校に首席で合格し、最上の設備が整っている自習用の「正読室」の利用許可をもらった。父のがん治療費のため塾通いのお金の余裕がないジュノにとっては、「正読室」を追い出されないために成績は上位を保っている必要があった。ジュノにとって、成績は弱い者たちが物色されがちな世界を生き抜くための「保険」みたいなものであり、誰かを好きになる気持ちは「生きるエネルギー」であった。だが、そうした誰かに認めてもらいたい、という「承認欲求」は恐ろしく深い。ジュノの幼馴染で両親が離婚後、父が再婚し、継母との三人で暮らすビョンソは、成績トップで「自分の世界がそのまま世界のすべて」だと思っている。ビョンソがなにかにつけてジュノをライバル視してくるなか、ジュノは時事討論サークル「コア」の仲間との交流により、自分は何をしたいのか、を考えるようになっていく。この作品は「学歴社会」と言われる韓国社会の過酷さを背景に、その中で自分を見つめ、自分の心に向き合っていく高校生たちの成長を描いている。韓国だけではなく、日本、そして私の住むアメリカでも「学歴社会」は存在する。また「承認欲求」は誰にでも存在する。そんな中、いかに自分の信じる道を保っていけるか、を問われている気がした。

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レビュアー

韓国のYA、何冊も読んでいますが、そこで描かれる中高生たちは必ずや苛烈な受験競争に喘いでいる。学歴至上主義の韓国にあって、学ぶことは人生を勝ち抜くための手段。大学、就職、住居、全てが競争の果てに得るもの。そんな韓国の高校生にも、煌めく青春はある。首席で高校に入学したジュノが勉強漬けの毎日の中で、自らに問い、答えを求めるその心の動きは、やっぱり瑞々しくて眩しい。優秀な先輩、気の置けない親友。ユビンへの恋を自覚していく過程は、くすぐったいほど純粋だ。自分の道を見極めて進もうとするユビンへの尊敬と憧れ。成績への拘りをフラットな目標に置き換え、ジュノは次の一歩を踏み出した。優等生のジレンマをみごとに描きつつも、若々しい感性が清々しかった。

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図書館関係者

夜間自習、成績上位者が利用できる正読室、進学のためのボランティア活動。優等生であるために息が詰まるようなハードな毎日を送る学生たち。テレビドラマで目にするようなキラキラした生活を送る高校生とはまたひと味違った韓国進学校の高校生ライフを垣間見ることができる。そんな日々の合間にも、恋や進路、家族のことで心揺さぶられる姿には、国は違えど、共感できてぐっとくる。大人や社会から与えられたバイアスを越えて、考え行動する青少年がまぶしい。今最旬の韓国YA小説だ。

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私の職場はサバンナです!

南アフリカ政府公認のサファリガイドが伝えるサバンナの動物たちの生態、環境保護の最前線、自然と共生するために大切なこと。

 


【みどころ】
大好きな動物を守りたい――南アフリカ政府公認・唯一の日本人女性サファリガイドが伝えたい知られざるサバンナの動物たちの生態、環境保護の最前線、人と自然が共生するために大切なこと。

太田ゆか 著
河出書房新社
1,562円

【選定理由】
南アフリカでサファリガイドになる、主人公のアクティブな生き方は高校生には新鮮で、文系・理系問わず読める、楽しく魅力ある作品。生物多様性を考えるきっかけにもなる。
図書館関係者

気になり(学校でも所蔵しておき)ながら読まずにいた本。
読んでみたら期待通りにおもしろかったです。
想像はしていたけれどそれを越す大変さとよろこびとがあるサバンナ暮らし。
同じ選択をしようと思う子は少ないかもしれないけれど、
困難に見えるけれど挑戦してみたいと思うことと出合った時に、
思い出して勇気をもらえるんじゃないかと思う。
密猟など現地だけの問題ではない課題も書かれており、
このことについては広く知られることが対策にもつながると思うので、
この本を読むことで考えるきっかけとしてほしい。

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図書館関係者

サバンナで働くなんて志し高く熱い思いでやってるのかな、と思ったら入口はそうでもなかった。
でもサファリやサバンナ、動物達への愛を感じながら読んだ。
生き物紹介にもなっているので、生物好きにも、仕事案内にもいいかも。
好きなこと、やりたい事が漠然としかなくても、大丈夫かも、と自分の未来に勇気がもらえる。

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レビュアー

幼いころから動物が好きで、大学在学中に南アフリカのサファリガイド訓練学校に留学した著者。
大学卒業後は念願のサファリガイドになり、野生動物の保護活動にも取り組んでいる。
サファリガイドの仕事について書かれた本かと思っていたが、第2章では肉食動物、第3章では草食動物、第4章では鳥、第5章では昆虫について書かれてあって、これがとても面白かった。
各動物を詳しく説明することで、生態系を知ることができたと思う。
第6章では動物と共に生きる未来のために、どういったことに留意しなければいけないか、という課題が書いてあった。
人間も生きていかなくてはいけないし、かといって野生動物も保護しなければいけないし、なかなか難しい問題なのだなと思った。
動物に対する愛にあふれた本だった。

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レビュー提供元
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