第71回小学校中学年の部 優秀作品

「見つけた!私にできること」
 千葉県市原市立牧園小学校 4年 伊藤翠音

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 「動物を殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!」ぞうれっしゃの歌の一節だ。私は友達にさそわれて今年から「ぞうれっしゃ合唱団」に入った。初めて練習に参加した時、大人達がすごいはく力でこれを歌っているのを聞いて、私はこわくて体が固まってしまった。「殺せ」なんて絶対に言ってはいけない言葉を、大人がさけんでいる様子がとてもしょうげき的だった。ぞうれっしゃは、戦争中に名古屋の東山動物園で起きた本当の話だ。戦争が終わってもずっと忘れないように本や歌になってのこっている。私はぞうれっしゃの事をもっと知りたいと思って、この本を読んだ。

 本を読んで一番おどろいたのは、人間だけじゃなくて、動物も戦争で苦しい思いをしたという事だ。ばくだんでおりがこわれてにげだしたらあぶないという理由で、動物を殺せと軍から命令が出た。特に熊の飼育員さんが軍人の命令でかわいがっていた熊を、じゅうでねらいやすいように立ち上がらせたシーンは、読むのも辛かった。大好きな飼育員さんが近づいてきて、うれしそうに立ち上がった所をうたれた熊。それを目の前で見る事しかできなかった飼育員さん。きっと、おたがい家族みたいに大切なそんざいだったんだと思う。もし自分が飼育員さんの立場だったら、悲しすぎて想ぞうもしたくない。

 戦争は人間同士の殺し合いのイメージだったから、何も悪くない動物もこんな形でまきこまれていた事がショックだった。今なら絶対に反対運動が起こると思うけど、戦争中は反対意見なんてだれも言えなかったんだろうな。自分の意見を当たり前に、自由に言う事ができる今は、本当に幸せなんだと気付いた。

 そんな中、東山動物園の人達はとても勇気があると思った。他の動物園は命令通り動物を殺したけど、園長さんはぞうだけでも助けたい、と軍に何度もおねがいして何とかゆるしがもらえた。エサがなくてぞう達がどんどん弱っていくと、飼育員さんは軍馬のエサをぬすんでぞうにあげた。私は、見つかったら殺されるんじゃないかと、読みながらひやひやした。戦争にとって大事な軍馬のエサをぬすむなんて、ばれたらひどい目にあうと私でも想ぞうできる。飼育員さん達は本当に命がけでぞうを守りたかったんだと思った。

 去年も私は戦争をテーマにして読書感想文を書いた。その時、「戦争が起こらないために私に何ができるか」と考えたけど、何も思いつかなくて、とてもやりきれない気持ちになった。でも、今年ぞうれっしゃの本と歌に出会い、「これなら今の私でもできる!」とうれしくなった。戦争をなくすためには、戦争によって何が起こるかを知ることが大事なんじゃないか。そして、私がそうだったように、歌や本なら小学生にも戦争のひさんさや、おそろしさが分かりやすく伝わると思う。私はこれから歌う事で、戦争反対の気持ちを精一ぱい伝えていきたい。小さな小さな一歩だけど、たくさんの人にとどくことをいのって。

 

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●読んだ本「ぞうれっしゃがやってきた」(岩崎書店)
小出隆司・作 箕田源二郎・絵

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