第71回小学校高学年の部 優秀作品

「違いがあるからこそ、尊重しよう」
 神奈川県藤沢市立天神小学校 5年 亀岡侑希

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 「『みんなとちがう』は、武器になる」

 この本の帯に書かれていた強い言葉に、私は心を掴まれた。「みんなとちがう」ことが、どうして「武器」になるのだろう。そんな疑問を抱きながら、私はこの物語の世界に足を踏み入れた。

 主人公の信太朗は、色覚障害を持つ少年だ。私はこの本で初めてその障害について知った。私が当たり前に見ている信号の色、好きな塗り絵で自由に選んでいる色。それらが当たり前ではない世界があることに、何とも言えない歯がゆさを感じた。そして、ふと思った。私が「赤」だと思っているこの色は、本当に友達にも同じ「赤」に見えているのだろうか。

 この本をきっかけに、以前父が話してくれた「現実世界に色ってないんだよ」という言葉を思い出し、詳しく聞いてみた。私たちが感じている色や音は、脳が作り出す「プライベートな現実」なのだという。その話に興味を持った私は、他の生き物の色の世界を調べてみた。すると、鳥は人間には見えない紫外線を、アゲハチョウは六種類もの錐体細胞で私たちが想像もできないほど豊かな世界を見ていると知った。一度でいいからアゲハチョウになって、その世界を体験してみたい。そう思った時、私はハッとした。もしかしたら、鳥やアゲハチョウから見れば、人間なんて全員が色覚障害なのかもしれない、と。

 「障害は個性だ」と、私にはまだ簡単には思えない。けれど、障害があるからといって周りが腫れ物に触るように接するのは、きっと違う。信太朗は、赤色を感じにくい代わりに、他の人には見わけられない緑のわずかな違いを判別できるようになった。他の人から見れば「特殊能力」とも言えるその力を発揮し、みんなに認められた瞬間、私は心の中で何度もガッツポーズをした。「やった!すごいよ、信太朗!」と、自分のことのように嬉しかった。見えている世界が人と違うことは必ずしも悪いことではないのだ。

 私に見えているこの世界も、私だけの特別なものなのかもしれない。そう思うと、自分の見ている美しい景色をもっと大切にしたいと感じる。同時に、この世界には私が見えていないものがたくさんあるのだということを忘れず、謙虚な気持ちと想像力をもって周りを見つめたい。

 信太朗も、自分には見えない色があると自覚したことが、見える世界を広げるきっかけになったのではないだろうか。大切なのは、みんなが見ている世界は一人一人違うかもしれないと知り、その違いを想像し、尊重することだ。自分の「当たり前」が、誰かの「当たり前」ではない。そのことを心に留めておくだけで、人との関わりかたはずっと優しく温かくなれるはずだ。それこそが、この本の題名が教えてくれる本当の意味だ。それは私たちが生きがいとも言える「自分のララ」を見つけ、人生を豊かにしていくための秘訣なのかもしれない。

 

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●読んだ本「ぼくの色、見つけた!」(講談社)
志津栄子・作 末山りん・絵

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