第65回小学校中学年の部 優秀作品

「神様からの宝物」
 東京都千代田区・白百合学園小学校 3年 澤田涼那

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 「神様は誰にでも何か一つ宝物をくださる。」翔子さんのお母様の言葉です。私は学校で、神様は一人ひとりを大切にしてくださると習いました。自分で努力しないと見つけることはできない宝物。その宝物を見つけて、かがやいている人がいます。書道家の金澤翔子さん。ダウン症というしょうがいがあります。書道の先生でもあるお母様と一緒に、苦しいことやつらいことをのりこえてきました。

 私は書道が大好きです。字には自分の気持ちが正直に表れてしまうので、いつもしんけんに取り組んでいます。翔子さんのてんらん会ではじめて作品を見た時、私は息をするのもわすれるくらいおどろきました。白と黒だけのはずなのに色があり、音もして、今にも動き出しそうな生き物のように見えたのです。心が字に表れるなら、翔子さんの心は何かをつたえる大きな力があると思いました。そのはく力は一体どこから生まれるのでしょうか。

 翔子さんは、ダウン症というしょうがいがあって生まれましたが、同時に一点の曇りもない、とうとい心もさずかりました。翔子さんにとって命あるものは全て同じ。花に手を合わせ、月にお礼を言い、相手によってたい度をかえません。総ての命に感しゃして生きる。みんなのえ顔が大好きで、まわりの人をよろこばせることが翔子さんのエネルギーになって、書に表れるのだと思います。

 しかし、さずかった才のうや心があっても、努力してみがかなければ、宝物はかがやきません。翔子さんが三年生の時、しょうがいがあるために通いなれた学校をやめなければならなくなります。そんなつらい時にちょうせんしたのが、「般若心経」というお経の書き写しです。とてもむずかしく、お母様に何度もしかられてなみだがあふれても、弱音一つはかずに努力をつづけました。

 やっと一行を書き上げた時、翔子さんは、

 「大好きだから、私、お母様のところに生まれてきたの。お母様、ありがとう。」

と、何度もお礼を言いました。苦しいじょうきょうの中でも、まわりの人への感しゃの気持ちを失わずに努力をつづけたから、翔子さんは多くの人に希望をあたえられる筆を手に入れることができたのだと思います。

 翔子さんは、一人でがんばったわけではありません。お母様の深い愛や町の人たちの温かい見守りが、翔子さんをささえました。地球上のどんな人も、みとめ合いささえ合えば、多くの宝物がもっとかがやくはずです。

 私が感じたあの字のはく力は、

 (神様がくださった私の宝物もみんなの宝物も、一つひとつ全てかがやきますように。)

という、翔子さんからの強いいのりがこめられているのだと思いました。

 私は、まわりの人のかがやきを大切にしながら、自分の宝物を少しずつみがいていこうと思います。そして、翔子さんのように、その光でまわりの人を明るくてらし、助けることができる人になりたいです。

 

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●読んだ本「希望の筆:ダウン症の書家・金澤翔子物語」(佼成出版社)
 丘修三・文

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