第64回小学校低学年の部 最優秀作品

「ふつうってなんだろう」
 奈良県大和高田市立菅原小学校 2年 平田永久

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 町で白いつえをついているおじさんを見かけた。足がわるそうでもないのにどうしてつえをついているかふしぎになってママにたずねたら、「目が見えないからつえをついているんだよ。」とおしえてくれた。わたしは、目をつむって歩こうとした。でも、こわくて一歩も歩けなかった。おじさん、見えなくてかわいそう、と思った。それからしばらくおじさんのことが気になった。ある日、本やさんで、大すきなヨシタケシンスケさんの新しい本『みえるとかみえないとか』と出会った。わたしはすぐに読みたくて、ママにその本を買ってもらった。

 この本はうちゅうひこうしのぼくがいろんなほしに行ってちょうさをするものがたり。ちきゅうにはいないようなかわった生きものがいてすごくおもしろい。たとえば、うしろにも目があるひと。前もうしろも一どに見えるからべんりらしい。だから、うしろが見えないぼくのことを「かわいそう」と言っていろいろ気づかってくれる。だけどぼくは「これがふつうだから」「ヘンなきもち」になった。わたしもうしろは見えないけど、べつにかわいそうなひとじゃないよ。そして、そのほしで「うまれつきぜんぶの目がみえない」ひとにも出会った。わたしは、見えないひとのくらしかたをはじめて知っておどろいた。たとえば、「じどうはんばいきではかってみるまでなにがでてくるかわからない」ということや、「じぶんのよていはメモのかわりにろくおんしておく」ということ。わたしとはぜんぜんちがう。じどうはんばいきでは目で見てのみたいものをえらぶし、おぼえておきたいことは、紙に書いておく。

 わたしは、見える自分がふつうだと思ってた。でも、もしかしたら見えないひとは、見えないのがふつうなんじゃないかな。「ふつう」ってなんだろう。そんなふうに考えていたら、町で会った白いつえのおじさんは、もうかわいそうなひとじゃなくなっていた。

 

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●読んだ本「みえるとかみえないとか」(アリス館)
ヨシタケシンスケ・さく 伊藤亜紗・そうだん

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