第63回小学校中学年の部 最優秀作品

「まほうみたいな干した物」
 香川県 高松市立多肥小学校 4年 森田 千聡

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 「干した物って、こんなにもあるの!」

特に、うら表紙にあったカエルが、干されていたのにはびっくりした。だって、わたしの家のミカンの木にもカエルが干されていたからだ。だれがしたんだろうと思っていたら、「モズ」という鳥が、一度に食べきれないえものを枝にさしておいて、後で食べるためにしたんだよ。と、お父さんが教えてくれた。ということは、鳥も人と同じように、干したものを食べているということか。

 この本を読みながら、わたしはおばあちゃんのことを思い出した。おばあちゃんの手にかかると、どんな物でもあっという間にシワシワの干し物になる。特に、干しがきは最高においしい。初めから木になっているのかと思っていたら、いっしょに作るとちがっていた。まず、しぶがきの皮をうすくむき、じくの部分をいなわらにさしこむ。あとはカビに気をつけて干し、赤むらさき色になったら完成だ。最初かじったかきは、すごくしぶくて歯がキシキシしたのに、できあがると、やっぱりあまい。しかも、干すからえいようがギュッとつまって、冬にぴったりのおやつになるそうだ。ただ干しただけなのに、全ぜんちがうものになっていて、びっくりした。家の庭に来たモズも、干したらいいことがあるって分かっていたのかな?

 本には、切り干し大根やかつおぶし、梅干しなど、お母さんがよく、「あった。助かった。」と言って取り出してくる物がたくさんあった。中でも、毎日食べているお米が、干した物だったなんて、びっくりした。たしかに、水につけてもどしてからたいている。干して長持ちする小麦やお米だからこそ、人は主食にしたのだ。おかげで、わたしは毎日こまることなく、おいしいごはんを食べている。

 ほかにも、世界中の干した物がのっていた。ラオスではバナナが、モンゴルでは、ゲルという家の屋根にチーズがのっていた。一度にたくさん食べ物が取れたら、少しでもくさらないように、長く食べられるように、「干す」という工夫を世界中の人がしてきたのだ。その知えが、みんなの命をつないできたことが分かった。わたしが今、生きていることも、昔の人が食べ物を「干す」ということを考えたおかげなんだ。そんなまほうみたいなことを考えた昔の人たちって、本当にすごいと思った。そして、世界中の人たちが、顔も言葉もちがうのに、同じことを考えて命をつないでいたことにもおどろいた。そう考えたら、前までは、ちがう言葉で話している人がいたら、ちょっとドキドキしていたけれど、なんだか近く感じるし、分かり合える気がしてきた。「世界は一つ。」って本当だ。

 おばあちゃんは、よく自分のことを、「梅干しばあちゃんだよ。」と言うけれど、干されておいしくなった梅干しは、しわの分だけたくさんのことを知っているおばあちゃんにぴったりだ。今度は、大好きなミカンを、おばあちゃんといっしょに干してみよう。

 

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●読んだ本「干したから…」(フレーベル館)
森枝卓士・写真・文

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