第62回小学校中学年の部 最優秀作品

「『さかさ町』を読んで」
 徳島県阿南市立見能林小学校 3年 土井 優理

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 「えっ、何で?ふつうぎゃくちゃうん?」

 『さかさ町』を読んで、わたしは友だちに言われたこの言葉を思い出しました。わたしの家では、お父さんが毎日朝ごはんを作ります。それを友だちに話したとき、とてもびっくりされたのです。そして、わたしも、友だちの家ではお母さんが朝ごはんを作っていることを知って、「えっ、何で?ふつうぎゃくちゃうん?」と思ったのです。

 『さかさ町』では、いろいろなものがさかさまで、びっくりするような事が次つぎにおこります。たとえば、地下八かいだてのホテル、アイスクリームを口に入れて体温を計るびょういん、デザートから先に出てくるレストラン、品物といっしょにお金もくれるお店などです。はじめは、わたしも町のルールがわからなくて、リッキーやアンといっしょにドキドキしながら町をすすんで行きました。

 でも、町のルールには一つ一つちゃんとした理由があることに気づきました。さいしょはへんだな、と思っても、その理由が分かったら、ぎゃくに『さかさ町』のほうがいいな、と思うこともたくさんありました。たとえば、「くすりはびょう気の人をよくするためのもの。だから、おいしくなくちゃ」と言うおいしゃさんに、わたしは大さんせいでした。

 読んでいくうちに、『さかさ町』やそこにすむ人たちのことがだんだんすきになっていきました。どこもとても楽しくて、わたしも本の中に入っていきたいくらいでした。

 そこで、わたしも家の中で「さかさ」体けんをしてみたくなって、お風ろ場の世かい地図をさかさまにしてみました。さいしょは、何だか気持ちわるいかんじがしました。でも、一週間たつとだんだんなれてきました。お母さんが、「地きゅうの南半きゅうにすむ人たちは、いつもこっちの地図を見ているのよ。」と教えてくれました。すると、「さかさ」の地図を見るのが何だか楽しくなってきました。なぜなら、わたしにとっての「ふつう」は、だれかにとっての「さかさ」だし、わたしにとっての「さかさ」は、だれかにとっての「ふつう」なのだと気がついたからです。自分が「ふつう」と思っていることの「さかさ」を知ると、自分とはまったくちがうものの見方に出会うことができます。それはとてもすてきなことだと思いました。わたしは、『さかさ町』にすむ人たちにも、ぜひリッキーとアンの町に遊びに行ってみてほしいです。そうすれば、その人たちも、きっとリッキーたちの町を楽しめるだろうと思います。

 わたしの家では、お父さんが朝ご飯を作ってくれるおかげで、お母さんはきめられた時間までにし事場に行くことができます。友だちの家のように、これとはぎゃくの家もたくさんあるけれど、この本を読んで、どちらも正しいと思えるようになりました。これからは、自分が「さかさ」だなと思っても、自分の考えだけが正しいと思わずに、あい手の立場に立って、「さかさ」を楽しみたいです。

 

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●読んだ本「さかさ町」(岩波書店)
F・エマーソン・アンドリュース・作 ルイス・スロボドキン・絵 小宮由・訳

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