第62回小学校高学年の部 最優秀作品

「わたしにもできる」
 徳島県三好市立政友小学校 6年 横田 万季

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  「サマーのようになりたいな。」

 わたしは、つぶやいた。サマーは、だれも近よろうとしないオーガストと毎日いっしょにランチを食べている女の子だ。

 ビーチャー学園の生徒たちは、新しく入学してきたオーガストの顔にびっくりして、近づこうとしない。オーガストのことを「奇形児」とか「ゾンビっ子」とか呼んでいる。うっかりオーガストにさわってしまったら、三十秒以内にすぐ手を洗わないとペスト菌がうつってしまうという遊びまでしているのだ。もし、わたしが学校でオーガストのような子に出会ったら、きっとびっくりして怖いと思ってしまうだろう。わたしも、ビーチャー学園の生徒たちといっしょだ。なさけない。

 でも、サマーはちがっていた。初めてオーガストのいるテーブルにすわったのは、かわいそうに思ったからだった。けれど、すぐにオーガストのよさに気がついた。人の見た目にまどわされない女の子なのだ。なんで「奇形児」といっしょにいるのかと聞いてくる子たちには、「いい子だからだよ!そんな呼び方しないで。」と答える心の強い女の子だ。だから、わたしもサマーのようになりたいと思ったのだ。

 こう考えていて、わたしは、はっとした。

「サマーのようになりたいってことは、オーガストにはなりたくないってこと。」

 サマーは、「みんな、サマーのことが好きなのよ。すごく性格がよくて、とってもきれいだって言ってるよ。」と、人気者のグループにさそわれるような子だ。一方、オーガストは、人間としてすてきな子だけれど、ふつうじゃない顔のせいでみんなからひどい差別を受けている。もし、わたしがオーガストとしてビーチャー学園に通っていたらと想像するだけで怖かった。毎日がいじめの地獄だろう。

 ジャックも、オーガストの見た目にまどわされず、心から親友だと思っている一人だ。オーガストのことを「奇形児」と呼んだジュリアンをなぐってしまったのも、そのためだ。

 そのジャックにオーガストがメールで聞いた。「もしぼくみたいだったら、マジ自殺する?」わたしがいちがん聞かれたくない質問だ。ジャックは、こう返信した。「しない!命かけて誓える。だけどさ……ジュリアンみたいだったら、自殺する。」と。すごい。こんな強さを、わたしは持てるだろうか。

 野外学習の夜をきっかけに、大変化が起きた。オーガストを化け物あつかいする他校の上級生に、ジャックだけでなく、それまでジュリアンの手下だと思っていたエイモス、マイルズ、ヘンリーまでもが立ち向かっていったのだ。そして、学園中のみんながオーガストを「相棒」と呼ぶようになった。不思議がるオーガストにママが「人には、びっくりするようなことが出来るのよ。」と言った。これが「ワンダー」という題の意味だったのだ。

 そうだ。わたしにもできるんだ。見かけにとらわれない強い心の持ち主になることが。

 

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●読んだ本「ワンダー」(ほるぷ出版)
R・J・パラシオ・作 中井はるの・訳

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