第29回/高等学校の部/大和証券賞

「変わりゆく人間性」

 若生 天音(宮城県黒川高等学校2年)

「変身」(新潮社)


 突然虫になってしまった主人公は、家族に拒絶されて死んでしまう。自分だったら虫に変容した原因を探そうとするが、主人公は違っていた。むしろ人間だったことを消し去ってもいいのではと思う主人公の気持ちが読み取れた。
 そこからイメージして、羽が生えることを否定せず、味覚が変化して腐ったチーズなどにしか食欲が湧かない非人間的な部分と、家族に拒絶された悲しみと寂しさの残された人間らしい姿を描いた。