第29回/高等学校の部/優良賞

「夢のなかみたいだった」

 笹平 日奈子(茨城県立土浦第二高等学校1年)

『梶井基次郎全集全一巻』より「Kの昇天」(筑摩書房)


 現実から離れたところで淡々と進む物語の、少しの狂気があまりに奇麗だと思いました。影が重要な役割を持つ話なので、月の、透明で硬い光を丁寧に描いて、それによって生まれる影が映えるようにしました。月は描いていませんが、その影で満月の特別さが伝わればいいと思います。また、「K君」と「私」の間に距離をとった構図にし、「K君」への月光の当たり方を工夫することで、「K君」の異質さを表現しました。